鬼怒川決壊 国交省所長、浸水想定図「送信した」 市側と食い違い 常総検証委
茨城新聞2016.3.1
鬼怒川決壊で常総市の初動対応を検証する市議会水害検証特別委員会が29日開かれ、国交省下館河川事務所の伊藤芳則所長が出席、「三坂町の越水後に氾濫シミュレーションを市にメール送信した」と証言した。これまで市側は「受け取ったとは認識していない」としており、食い違いを見せた。
伊藤所長は、高杉徹市長の携帯電話に直接連絡する「ホットライン」が7回あった点など経過を示しながら、鬼怒川の氾濫シミュレーションについて「市にメール送信した」と述べた。送信時間は、決壊した10日午後0時50分の後となる同1時13分という。
2月5日の検証委で市側は「(市街地の被害を予測した)浸水区域想定図を受け取った認識はない」と主張。災害対策本部のある市役所の水没は「予測できなかった」と高杉市長が答えていた。
伊藤所長は、浸水区域想定図は2005年時点で同市に伝えたほか、13年から同事務所ホームページでも公表していると述べた。
一方、ダンプカーの土砂搬出により、決壊地点の堤防が沈下し、もろくなっていたとする指摘に対し、「決壊地点は運搬路の上流であり、影響を与えたとは考えていない」と返答。決壊地点でダンプカーがUターンや待機したことで沈下した可能性も尋ねられたが、重ねて因果関係を否定した。
(松田拓朗)
(写真)水害特別検証委員会に出席した国交省下館河川事務所の伊藤芳則所長(右)ら関係者=常総市役所議会棟