「堤防建設間に合わず」 国交省が説明 常総市議会水害検証委 /茨城
毎日新聞・茨城版2016.3.1
関東・東北豪雨への対応を調べる常総市議会水害検証特別委員会が29日開かれ、国土交通省の担当者が出席した。
「鬼怒川堤防の整備の遅れが水害につながったのでは」との質問が続出。
伊藤芳則・下館河川事務所長は、同市三坂(みさか)町の堤防決壊地点と同市若宮戸(わかみやど)の越水地点を含め「6キロ区間の用地調査に入っていたものの、建設が間に合わなかった」と説明した。
鬼怒川の治水計画は100年に1回の洪水に耐えられるように1973年に変更。
栃木県内の基準点で毎秒4000トンから6200トンに流量を増やした結果、茨城県内でこの基準を満たす堤防整備率は約40%から10%未満に低下し、現在も17・4%にとどまっている。
下流側から危険度の高い場所を優先して整備し、同市三坂町から上流6キロ区間は2014年から用地調査に入っていた。
堤防がない若宮戸は氾濫(はんらん)の可能性が最も高い場所と認識。03年ごろから自然保護団体と協議し、堤防建設への同意を得ていたという。
また、三坂町で13年11月?14年5月に行われていた河川敷の土砂採取に関係し、中村博美市議が「堤防がダンプカーの通過により沈下し、越水から決壊に至る原因になった」と指摘。
伊藤所長は「通過ルートより上流で最初に決壊し、それが通過地点に広がったので関係ない」と答えた。
中村市議は「(ルート外の)決壊地点にもダンプカーが入っていた」と反論したが、伊藤所長は委員会後の取材に「それがなくても、想定以上の洪水のため越水は起きていた」と話した。
【去石信一】