記事にあった、河川管理施設等構造令について、ちょっと補足します。
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インターネットで引いていただけるとわかりますが、同例は、河川法13条2項に基づく政令であって、1976(S51)年7月20日に制定されています。河川法の制定が1964(S39)年7月10日制定ですので、その12年後に定められた政令ということになります。
- 【注1】 政令とよく似たものに、奨励があります。省令は、各省大臣が発するものですが、政令は内閣のレベルで発するもので、憲法に根拠があり(73号6号)、省令よりも格上の命令です。行政機関が制定する命令の中では最も優先的な効力を有するものです。
河川管理施設等構造令では、3章(17条~32条)が堤防です。有名な土堤原則(堤防は土で作るべし!)は19条、堤防の高さ・幅に関する定めは、その後の20条・21条に定めがあります。
この定めの中で、要となっている専門用語が、計画工水流量、計画高水位です。「高水」というのは、普段(低水)よりも河川水位が高い状態、つまりは簡単に言うと、洪水です。
その洪水時に、一応安全に洪水を流せる洪水流量、洪水水位を考えます。これは、現行でというより、「河川改修工事をして」という未来形での「洪水を流せる」レベルです。それを、河川流量レベルであらわしたのが計画高水流量、これを水位で表現したのが計画高水位です。
- 【注2】 実際には、途方もなく予算をかければ、ダムで洪水を貯留し、洪水をカットすることなく(河川水位をさげることなく)、基本高水流量(治水計画における想定流量)全てを流しきることもできるかもしれません。しかし、それでは効率が悪いので、ダム+河川改修の組み合わせで、もっと予算上効率がよい配分を考えて、計画高水流量(そして引き算として決まるダム貯留流量)を決めるということになっています。下記資料は、『利根川百年史』にある説明で、1980年の計画資料です。参考までに示しておきます。ただ、その計算過程はブラックボックスです。
話を戻します。
堤防に求められる能力は、河川の規模、想定洪水の規模によって異なるわけですから、そこで計画高水流量が、基準として機能します。
河川管理施設等構造令は、20条で堤防高を、21条で堤防幅について規定するわけですが、規定は下記の通りです。
鬼怒川の場合、利根川水系河川整備基本方針により、基準点・石井(宇都宮市)で、計画高水流量は5,400㎥/秒と決まっています。もう少し下流に、もう1つ基準点があり、それが常総市・水海道ですが、ここが5,000㎥/秒です。
石井(宇都宮市、合流点75km)
水海道(常総市、合流点11km)
従って、項目4に該当し、堤防幅は6mということになります。
で、実際の堤防です。
これは9/14に私が撮影したもの。破堤地点から約1km上流です。ダンプカーが走っていますが、ぎりぎりです。ダンプカーの積載量がわかりませんが、10tダンプだと、幅は2.49mに各社、規格化されています。そうすると、アスファルトで舗装された部分は約3mというところでしょうか。堤防幅は、その両脇も含めますので、3.5mくらい(報道は4m)といったところでしょうか。