想定超過、最大5.7倍も 全国のダム土砂堆積
熊本日日新聞2014.10.17
国土交通省が全国の中規模以上の973ダムで土砂のたまり具合を調べたところ、2割近い178ダムでダムの機能を保証する「想定堆砂量」を既に上回っていることが16日、分かった。
県内は電源開発(Jパワー)が芦北町の球磨川に持つ瀬戸石ダムで、完成から54年で想定量の約1・4倍の104万立方メートルの土砂が堆積している。
国交省は貯水容量1万トンを超える中規模以上のダムの堆砂状況を定期的に調べている。住民ネットワーク・水源開発問題全国連絡会(東京)が開示請求した2012年度末の調査資料を基に熊本日日新聞が分析した。
ダムは建設時に一定期間(一般的に100年)で堆積する土砂量を想定堆砂容量として算出。その期間は洪水調節や利水の機能が保てるように造る。
資料によると、いずれのダムも建設時の想定を上回るスピードで土砂が堆積、178ダムで想定容量を既に超えていた。2倍超となっているものも67ダムあり、多くが運用開始から60年未満だった。
湯原ダム(岡山県)の5・7倍、北山ダム(佐賀県)の2・8倍など大幅に想定を超えているのもあった。
九州で想定容量を超えているのは37ダム。宮崎県内が目立ち、耳川水系と大淀川水系でともに6。2倍超も15ダムあった。
熊本県内で想定容量を超えているのは発電専用の瀬戸石ダムのほか、いずれも県が設置した球磨川水系のかんがい・治水用の清願寺ダム(あさぎり町)と緑川水系の発電用の船津ダム(美里町)。2倍超となっているダムはなかった。
(上田良志)