Quantcast
Channel: どうする、利根川? どうなる、利根川? どうする、私たち? Ⅱ
Viewing all articles
Browse latest Browse all 437

スーパー堤防差止等請求事件

$
0
0
江戸川区スーパー堤防差止等請求事件
(国を被告とする全国初のスーパー堤防裁判)

提訴 2014.11.22
第1回口頭弁論 2015.2.25
 東京地裁103号・大法廷、16:00~(裁判後、報告集会)



■差止請求 
(1)2度の移転・長期間の仮住まいによる被害
 本件事業の盛土工事のために、原告ら住民は、一旦地域外に仮住まいを強制され、その数年後に再度、本件盛土上に移転をしなければならない。この2度の移転と長期間の仮住まいが強制されることにより、居住移転の自由、居住の利益、平穏な生活権など重要な人格権を侵害され、また、危険な盛土の上の土地に所有地が変更され、かつそこに居住を強いられ、その結果、生命、身体という人格権の中核的な価値、平穏な生活権など重要な人格権と所有権を侵害されている。
 これらの身体的・肉体的な損害に加え、地域コミュニティーの破壊を余儀なくされている。

(2)盛土による被害
 本件事業は、スーパー堤防の築堤のための盛土工事をその内容としているところ、盛土によって形成された人工地盤には、液状化・不同沈下・斜面崩壊などの危険性が存在しており、実際にこれらの危険性が現実化した事例も多数存在している。住宅地である本件地区において液状化・不同沈下・斜面崩壊等が生じれば、原告らの家屋・家財の損傷のほか、生命や身体に対する損害が生じるおそれもある。本件事業は、原告らに対し、このような危険性を有する盛土地盤上への自宅の再築を強いるものであって、原告らの人格権・所有権を侵害するものである。
 本件事業は、スーパー堤防のための盛土を内容としていることから、本件事業の施行後は、本件地区の地表面は、現状よりも高くなる。本件地区はJR総武線の線路に面しており、その線路と同じ高さに位置し、または線路と高さが近くなることにより、現在よりも騒音被害を受けることになる。
 本件地区は、本件事業の施行後、勾配最大1/25(4%)の傾斜がある土地になる。車いすでは勾配1/15でも自走は厳しく、1/80くらいでやっと片手で登れるといった体験談がある。そのことからすると、勾配1/25というのは、車いす利用者や高齢者にとって、厳しい坂ということになり、原告ら住民は盛土によりそのような住環境を余儀なくされる。

(3)スーパー堤防事業は、必要性のない不合理な事業である
 スーパー堤防事業は,実現可能性のない事業で多額の税金の無駄遣いという点で不合理であるのみならず,そもそも治水対策効果の面で無意味であり場合によっては有害であるという致命的な欠陥を持っている。緊急かつ必要な治水対策は他にあり、スーパー堤防事業は、必要性も公共性もない事業である。
(4)スーパー堤防事業の違法性
 スーパー堤防整備盛土は、何ら法的権限なく原告らの所有権を侵害する盛土工事を行うことを内容とする違法がある。
(5)差止請求
 原告らの権利利益は、本件事業が施行されてしまえば金銭によって回復困難なものであり、また、これらの権利利益は、国法上最高の価値序列にある生命・身体及びそれに準ずる精神的人格権並びに所有権であり、他方で、侵害行為たる本件事業は違法であり、必要性、公共性を欠くものである。
 したがって、本件事業にかかる盛土工事について、原告らの人格権・所有権に基づき差し止めが認められるべきである。
 
■損害賠償
 (1)権利侵害行為
 前述のようにスーパー堤防事業は、何らの法的権限なく盛土工事を行うものである。そのため国は、江戸川区による本件土地区画整理事業という仕組みを利用し、盛土工事を実施しようとしている。江戸川区は、いわば国のスーパー堤防事業にかかる盛土をするために、土地区画整理事業を計画着手したものであり、国と江戸川区は,このような共同事業実施行為を通じて、共同して原告らの権利利益を侵害し、原告らの前述した損害を発生させたものであって、被告らによる本件共同事業実施は共同不法行為を構成する。
 よって,原告らは,被告らに対して,国家賠償法1条1項および民法719条1項前段に基づき、請求の趣旨第2項記載の通りの請求をする。

◇本件に関連する他の訴訟 
1 江戸川区スーパー堤防事業取消訴訟
  • 提訴:平成23年11月11日(東京地方裁判所民事第38部 谷口豊裁判長)
  • 原審判決:平成25年12月12日(原告敗訴)
  • 控訴:平成25年12月24日
  • 控訴審判決:平成26年10月2日(東京高等裁判所第16民事部 奥田隆文裁判長)
  • 現在上告中
 
2 江戸川区スーパー堤防事業仮換地処分取消請求事件
  • 提訴:平成25年11月27日(東京地方裁判所民事第38部 谷口豊裁判長)
  • 現在一審審理中
 
  

Viewing all articles
Browse latest Browse all 437

Trending Articles